明治時代に梶川辰二によって再刊された『仏像図彙』巻5の巻末には、 新たに西国三十三所霊場の本尊の写しが収録されました。
これらの図像は各札所で版行された本尊の御札(御姿ともいう)の写しではないかと思われますが、実物の本尊を正確に写したものではないのでご注意ください。
「本尊如意輪観音。二臂※の坐像。開基裸形上人。紀州牟婁郡那智山。」※六臂の誤記か。
「本尊十一面観世音。御長一尺二寸。開基唐僧威光上人。紀伊国名草郡紀三井寺。」
「本尊千手観世音。御長一丈八尺。開基大伴氏孔子古。紀伊国那賀郡粉河寺。」
「本尊弥勒菩薩。左右観音・文殊。四天王の像あり。開山行満上人。和泉国巻尾山(槇尾山)施福寺。仙楽院と号す。」本尊弥勒菩薩の脇に祀られている千手観音が西国札所の本尊。
「本尊千手観世音。坐像。開基行基菩薩。河内国丹南郡藤井寺(葛井寺)。」
「本尊如意輪観世音(千手観世音の誤記)。丈六坐像。開基報恩沙弥。大和国高市郡壺坂寺(壺阪寺)。」
「本尊如意輪観世音。丈六坐像。開基義淵僧正。大和国高市郡岡寺。」
「本尊十一面観世音。御長二丈六尺。開基徳道上人。大和国城上郡長谷寺。豊山神楽院と号す。」
「本尊不空羂索八目観世音。御長一丈六尺。弘法大師御作。南都興福寺南圓堂。」
「本尊千手観世音。閻浮檀金(えんぶだごん)佛御長八寸二分。建立隆明阿闍梨。山城国宇治郡三室戸寺。」※三室戸寺では二臂の観音像が千手観音として祀られている。
「本尊準提観世音。建立聖宝僧正。山城国宇治郡上醍醐寺。深雪山と号す。」