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御陵印とは
天皇陵への参拝記念にいただけるスタンプのことを「御陵印(ごりょういん)」といいます。かつては各天皇陵に備えられていたようですが、現在は5ヶ所の陵墓監区事務所で管理されています。かつては陵印毎に様々なデザインがありましたが、現在では統一されています。
このサイトでは、昭和戦前期に発行された『山陵宝典』という御陵印専用の御朱印帳?に捺された御陵印を紹介しています。旧印ならではのデザインを楽しんでいただければ幸いです。
『山陵宝典』について
大きさ:18×12cm 折本 ケース付き
昭和13年6月15日発行
昭和14年9月15日3版発行
発行所:松林堂(京都市下京区)
天皇陵参拝の記念として捺される陵印を収集する目的で発行された集印帳です。神代三陵と神武天皇から大正天皇の陵墓94ヶ所の写真と概要が記されています。
全ての陵墓の陵印が捺されており、参拝した日付を見ると主に昭和14年と15年に集印されたことが分かります。
しかし、淳仁天皇の淡路陵には昭和53年の日付が見られ、巻末の白紙の部分には昭和天皇陵の陵印も捺されているので、旧蔵者は戦後になっても集印を続けられたようです。
天皇陵巡拝の賑わい
この集印帳が3版まで版を重ねていることからも分かるように、昭和戦前期には天皇陵を巡拝することが流行ったようです。
この集印帳のケースの裏面に商品の宣伝文句が書かれていますが、山陵巡拝の一端が知れて興味深いのでここに全文を引用しておきます。なお、句読点を加えて読みやすくしてあります。
特製 山陵宝典に就て
近頃国民楕神の振興と体育の為、又は武運長久と国威宣揚祈願に、赤誠溢るゝ皆様の皇陵に参拝される方が急激に増加しました。その際、蒐印帖は必ず皆様のお伴として有難い御印を押捺して戴き、尊い紀念になつてぬます。本帖はその点特に留意し、神代及び歴代全山陵御真景九十四葉を、コロタイプ印刷にして謹載し、一層の尊厳を加え、資材を厳撰し、練達の技巧で入念に加工した特製品ですから、必ず皆様に永遠の御満足と御鑑賞を願ひ得る品と確信いたします。何卒他品と御比較の上、本帖の真価を御好評御推奨願ひます。