弘法大師の御詠歌一覧
弘法大師(空海)や高野山を詠んだ御詠歌を集めてみました。下段は読み方です。
高野山奥の院 弘法大師(和歌山県伊都郡高野町)
ありがたや 高野の山の 岩陰に 大師は今に 在しまします
ありがたや たかののやまの いわかげに だいしはいまに おわしまします
高野山奥の院 弘法大師(和歌山県伊都郡高野町)
高野山 結ぶ庵に 袖朽ちて 苔の下にぞ 有明の月
たかのやま むすぶいおりに そでくちて こけのしたにぞ ありあけのつき
高野玉川 弘法大師(和歌山県伊都郡高野町)
忘れても 汲みやしつらん 旅人の 高野の奥の 玉川の水
わすれても くみやしつらん たびびとの たかののおくの たまがわのみず
東寺 弘法大師(京都府京都市南区)
空海の 心のうちに 咲く花は 弥陀より他に 知る人はなし
くうかいの こころのうちに さくはなは みだよりほかに しるひとはなし
東寺 弘法大師(京都府京都市南区)
身は高野 心は東寺に 納めおく 大師の誓い あらたなりけり
みはたかの こころはとうじに おさめおく だいしのちかい あらたなりけり
東寺 弘法大師(京都府京都市南区)
身は高野 心は東寺に 納めおく 大師の利益 あらたなりけり
みはたかの こころはとうじに おさめおく だいしのりえき あらたなりけり
太融寺 弘法大師(大阪府大阪市北区)
発祥の 室としいへど わが住めば 有為の波風 寄せぬ日ぞなき
はっしょうの むろとしいえど わがすめば ういのなみかぜ よせぬひぞなき
善福寺 どんどろ大師(大阪府大阪市天王寺区)
高野山 御影仰ぎて 寄る人は 萬の願い 満つとこそ聞け
たかのやま みかげあおぎて よるひとは よろずのねがい みつとこそきけ
女人高野室生寺 弘法大師(奈良県宇陀市)
身は高野 心は東寺に 在します 大師は室生に 有明の月
みはたかの こころはとうじに おわします だいしはむろうに ありあけのつき
女人高野室生寺 弘法大師(奈良県宇陀市)
わが身をば 高野の山に 留むとも 心は室生に 有明の月
わがみをば たかののやまに とどむとも こころはむろうに ありあけのつき
熊野 弘法大師(和歌山県)
空海の 教えの道は 一束ね 弥陀の浄土へ 共に南無阿弥
くうかいの おしえのみちは ひとつかね みだのじょうどへ ともになむあみ
川崎大師平間寺 厄除大師(神奈川県川崎市)
ありがたや 南無厄除けの 平間寺 大師の誓い あらたなりけり
ありがたや なむやくよけの ひらまでら だいしのちかい あらたなりけり
西新井大師總持寺 厄除弘法大師(東京都足立区)
思ひ立つ 心ひとつを 友として 大師の御跡 拝みそめぬる
おもいたつ こころひとつを ともとして だいしのみあと おがみそめぬる
持宝院 厄除弘法大師(東京都江東区)
優れたる 法の光は 高野山 神代を照らす 月ぞ仰がん
すぐれたる のりのひかりは たかのやま かみよをてらす つきぞあおがん
大龍寺 児大師(東京都北区)
讃岐潟 屏風浦の 児大師 田端の寺に 迎え祀れよ
さぬきがた びょうぶがうらの ちごだいし たばたのてらに むかえまつれよ
御茶湯 弘法大師
立寄りて お茶の功徳の 足休め この世の功徳 先の世のため
たちよりて おちゃのくどくの あしやすめ このよのくどく さきのよのため
空海聖人 御修行御詠歌
わが修行 四国ばかりと 思うなよ 日々日本を 巡りこそしれ
わがしゅぎょう しこくばかりと おもうなよ ひびひのもとを めぐりこそしれ
弘法大師 火防(ひぶせ)の歌
霜柱 氷の梁に 雪の桁 雨の垂木に 露の葺き草
しもばしら こおりのはりに ゆきのけた あめのたるきに つゆのふきくさ
出典
- 『日本歌謡集成』第4巻(昭和3年/高野辰之 編)国立国会図書館デジタルコレクション
- 『新四国八十八ケ所霊場御詠歌』(大正2年/森田繁男 著)国立国会図書館デジタルコレクション
- 『諸国霊場 御詠歌千題』(昭和12年/永田文昌堂 編)